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バイトがあって今がある 映画監督 金子 修介さん

2016年5月16日 公開

どんな体験も挫折も決してムダにはならない。
大切に、向き合ってください。

映画監督 金子 修介さん
『平成ガメラ3部作』のほか数々の話題作を手掛け、現在公開中の映画『スキャナー 記憶のカケラをよむ男』(主演:野村萬斎)でも注目を集める映画監督の金子修介さん。その若き日の思い出を伺った。

「怪獣ビッグバン」に
目を輝かせた小学校時代

絶賛上映中の『スキャナー』のほか、『平成ガメラ3部作』、『デスノート』など、観る人の心の動線を見抜き、スクリーンから目を離させない映像の数々を手掛けてきた金子修介監督。大学の教員課程で学んだという経歴が「なるほど」と思える落ち着きと温かみある人柄で「僕は自宅から学校に通っていたし、奨学金もいただいていましたのでね。あまりアルバイトはしていないんですよ」と、穏やかな笑みをたたえて切り出した。
金子さんが生まれたのは昭和30年。小学5年生の時に、テレビ放送としては初めての特撮怪獣番組『ウルトラQ』がスタートし、金子さんはこの年を「怪獣ビッグバン」と名付けているそうだ。
「それまで、怪獣というのは、夏休みなどの特別な時に映画館に行かなければ見られないものだったんですよ。それが、毎週誰にでも見られるようになった。すごいものが始まった、見逃してはならないぞとワクワクしていましたね」
ほどなく怪獣が大ブームとなり、数多くのキャラクターが次々に誕生。小学校時代に怪獣事典まで作成したという。「特に心に残っている怪獣は、最初に見たモスラ。それからどこまでも凶悪でカッコいいキングギドラ」と、懐かしい親友の話をするかのように優しい表情で教えてくれた。

文学と漫画への傾倒を経て
高校で初の映画作り!

その後の中学校時代は、引っ越しの影響もあって自分の殻に閉じこもりがち。興味は、怪獣から文学へと移っていった。ドストエフスキーやヘルマン・ヘッセを愛読し、自身でも小説を書き始めたり、手塚治虫主宰の少年向け漫画雑誌『COM』に本格的な自作漫画を投稿。さらに高校進学後は「先輩から『学校祭で映画を制作・上映したらすっごく盛り上がった』という話を聞き、まるでカミナリに打たれたような衝撃を受けて8ミリ映画を制作しました」。映画なんて出来るわけがないと尻込みする同級生たちを励ましながら、8ミリ映画普及のためにカメラ店が貸し出していた機材を借り、脚本も絵コンテも自分で書いた。
「中学の時に投稿した漫画は見事にボツになり挫折したけれど、あの時に漫画を描いた経験が絵コンテ作りに役立ち、小学生の時に怪獣事典を作った経験が脚本作りに役立ったんです。ムダなんかじゃなかった」と、金子さんは振り返る。映画は学校祭でも大好評を博し、仲間と一緒に一つのものを創り上げる喜びを味わい「映画監督になろう」という決意を固めたそうだ。

夢と現実とのギャップを
乗り越え映画監督の道へ

とはいえ、映画監督として生きていける人はほんの一握り。夢破れた時のために教員免許を取得しておこうと考えた金子さんは、東京学芸大学に進学した。「これがまた、実につまらなかった(笑)。教育学というのはどの講義も言っていることが全部同じなんです。『いかに本人にやる気を出させるか』の一点に尽きる。そもそも本当は監督を目指しているのに教師の勉強をしているわけでしょう、『この勉強は将来、俳優にやる気を出させるためにも役立つはず』って必死で自分に言い聞かせるんだけど、それでも退屈で」と苦笑するが、選んだアルバイトも家庭教師と塾の講師だった。当時も映画製作を続けていたことからお金が必要となり、給料の良さに惹かれての選択だったそうだ。
「教え方は上手かったと思いますよ。家庭教師では中学生の作文、塾では小学生の算数と国語を教えました。初日に教室に入った僕を見るなり『おっ、桂三枝!』って叫んだ悪ガキなんかもいたりして。当時は似てたんですかね? そんな調子だから席に着かせるだけでも一苦労。窓から逃げ出したのを、僕も窓から飛び出して追いかけたりね。楽しそう? とんでもない。苦痛ですよ」と首を振った。
それでもやはり、社会に出る前のミニ社会体験として「労働して賃金を受け取る体験」はしておくべきであり、意義深いことだと、金子さんは話してくれた。
そして大学卒業後、金子さんは晴れて日活の助監督試験に合格、ここで初めて仕事の厳しさに直面する。「運動部や厳しいバイトで鍛えられた経験もないエラそうな学生のまま、映画界で一番下の下積みを始めたわけですよ…。まあ、かなりダメでしたね(笑)」
先輩から「くれぐれも忘れ物だけはしないように」とアドバイスを受けていたにもかかわらず、助監督デビュー作では撮影初日に大事な小道具であるサングラスを忘れるという失敗も。クランクアップ後に監督から「あの時、本当は殴ろうと思っていた」と言われて冷や汗をかいた思い出もあるそうだ。その後も多くの冷や汗と悔しい思いを乗り越えて、一歩ずつ夢に近づいていった。
最後に、金子さんから読者にといただいた一言がこちらだ。
「大学時代、学校の勉強はつまらんつまらんと苦痛にさえ思っていたけれど、そのおかげで自分は日活に入れたんです。助監督試験に出た連立2次方程式がいとも簡単に解けてね。どんな体験も挫折も、ムダになんて決してなりませんよ。大切に、向き合ってください」

★金子 修介さんの思い出バイト★

家庭教師
生徒は親同士が知り合いだった中学生。添削を中心に、作文指導をしました。文章は得意だったし、上手に教えられたと思います。
塾講師
生徒は小学生で、科目は算数と国語。落ち着かない子もいたから大変でしたが、なんといっても相手は小学生。可愛かったですね。

<プロフィール>
金子 修介

1955年、東京都生まれ。小学生時代に「怪獣事典」を作り、中学で漫画誌に投稿、高校では8mm映画を撮る。東京学芸大学小学校教員課程国語科卒業後、日活株式会社入社。主な監督作品に『就職戦線異状なし』(91)、『平成ガメラ3部作』(95、96、99)、『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』(01)、『デスノート』前・後編(06)、『ばかもの』(10)、『少女は異世界で戦った』(14)ほか。

<インフォメーション>

「スキャナー 記憶のカケラをよむ男」
出演/野村萬斎・宮迫博之・安田章大・杉咲花・木村文乃・ちすん・梶原善・風間杜夫・高畑淳子 ほか
脚本/古沢良太 音楽/池頼広 監督/金子修介
極上のコメディ・サスペンス映画が誕生!人気脚本家・古沢良太のオリジナル描き下ろし!!元・芸人で人間嫌い!?超能力で事件を捜査!?野村萬斎が現代劇初挑戦!相方には宮迫博之!メガホンを握るのは金子修介!
●オフィシャルサイト
http://www.scanner-movie.jp/
札幌シネマフロンティア、ユナイテッド・シネマ札幌にて絶賛上映中!

【ユーザープレゼント】

●映画「スキャナー」非売品オリジナルTシャツ(M/L)と非売品ボディシールのセット(5名様)
●映画「スキャナー」マスコミ限定パンフレット(3名様)

応募は締め切りました

バイトがあって今がある

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