1997年、Dieさんはメンバーとともに「DIR EN GREY」を結成。バンドの人気が徐々に高まっていくことは喜ばしい反面、音楽活動の忙しさからバイトに入れる日が減っていき、収入が得られないというジレンマも抱えるようになった。
「ある日、ライブで盛り上がったお客さんの拳が目に当たって、片方のコンタクトレンズがすっ飛んじゃって。だけど、新しく買う位の金があるなら、まずは食べ物を確保しなきゃってほど極貧だったんだよね。しばらくは片目だけ見えない状態でライブに立ったり、バイトをしたり(笑)」
どんなに体力的につらい肉体労働が続いても、食べ物に困るくらいの貧しさでも、決してへこたれることはなかったDieさん。プロになりたいという強い思いが自身を突き動かしていたのだ。そんな努力が実を結び、「DIR EN GREY」は始動からわずか半年で東京行きが決まった。そしてインディーズから念願のメジャーデビューを果たし、今や世界を舞台に最前線で活躍している。
「俺の場合はバイトってギリギリの生活を支えてくれただけじゃなく、仲間と一緒にしんどい思いをしたり、汗を流して働いたり、そんな経験が友情を生んでくれたかな。仕事にはイヤなことも、怒られることもあるけれど、逃げずに与えられた立場で頑張っていると得られるモノがあると思う。だから…勝手にバイトをバックレるのは人としてダメ! 俺、リーダーだったから、そんなスタッフに困らされたんだよ(笑)」