THEイナズマ戦隊は1997年、酪農学園大学に在学中だったメンバーによって結成された。上中さんの他、山田武郎さん(G)、中田俊哉さん(B)の3人はそろって大阪の高校から進学し、大学の軽音部で久保裕行さん(Dr)に出会い現在の形に。メッセージ性の強い歌詞とサービス精神に溢れたステージパフォーマンスで人気を集め、結成当初から北海道のインディーズシーンを盛り上げた。上中さんが初めてバイトを経験したのはそれより前、大阪で過ごした高校時代のことだった。
「先輩の紹介で洋食屋さんの厨房で働いてました。野球部やったし、音楽もやってたから、そんなに頻繁ではないですけどね。仕事はめっちゃ大変でした。オーナーシェフが厳しくて、『床濡らすな!』とか怒られるんですよ。俺、洗い場担当やったから、どうしても水飛ぶでしょ?それなのに『濡らすなって!』と思って(笑)」
生まれて初めてのアルバイトを通じ、お金を稼ぐことの大変さを実感したという上中さん。何度も怒られたというシェフに対しては怖さの反面、あこがれの気持ちも抱いていたのだそう。
「厨房で次から次に料理をつくるシェフを見て『カッコええな〜!』って気持ちもあったんです。本気で料理人になろうかと思ったこともあって、調理学校のパンフレットだけは取り寄せました。授業料見て『うわ!高っ!』って思って、やめましたけど(笑)」
洋食店のアルバイトは高校1年から卒業まで継続。キツい仕事ではあったが、辞めたい、逃げ出したいという気持ちにはならなかった。
「俺、そういうの思わないんですよ。確かに大変なんですけど、仕事ってそういうもんやろと思うんですよね」
実際、上中さんはひとつの仕事を長く継続するタイプで、経験したアルバイトの数そのものは多くはないという。