大きな重機を繊細に動かし、人々の生活を土の中から支える縁の下の力持ち【有限会社機弘社】

江別市角山に拠点を構える機弘社の前田昭二さんにお話しを伺いました。機弘社といえば、パワーショベルのアームで書道をしたり、包丁を取り付けキャベツの千切りをし、杭打ち機と協力してお好み焼きを作るなどのパフォーマンスを披露することでも有名です。「尊敬する方から、変なことって人と違うことだと教わり、お金をかけずにやれることをやっているうちにジャックナイフにたどり着いた」と前田さん。ジャックナイフとは、前輪に荷重をかけ後輪を持ち上げる技。普通は重機でやるようなことではありませんが、たまたま観ていたアメリカのTV番組でやっていて、その重機が会社と同じものでした。職人さん達に話すと「やってみるか」と皆さんもチャレンジ精神が旺盛というか、あっさりできてしまったそうです。大迫力のジャックナイフは、2014年に27時間テレビでも放送され、SMAPの木村拓哉さんが機弘社に来たということが大変話題になりました。重機パフォーマンスは、日ごろからの転倒防止対策のノウハウや繊細で高い技術力があるからこそ、やろうと思えばできてしまうのだそうです。その技術は主に建物の杭打ち基礎工事に生かされていますが、「騒音や振動で苦情を言われてしまうことがあり、重機で人を笑顔できることはないか？」と始めたことなのだそうです。

「機械を使用し広く世に貢献する会社」という理念をもって1986年にお父様が創業した機弘社。高校を卒業し重機オペレーターとして仕事をしていた前田さん。社長の息子として恥じないように密かに練習を重ねました。33歳の時に後を継ぎますが、現場での仕事と経営の仕事は全く違うものだと感じます。「社長に就任して初めての仕事が同友会への入会でした」。同友会とは、いい経営者になろう、いい会社をつくろう、いい経営環境をつくろうとしていく経営者の学びの場。多くの人と出会い話を聞かせてもらうのがとても勉強になると言います。2022年4月からは、北海道中小企業同友会江別地区会の会長を務めており、その経験も勉強です。勉強熱心ですねと感心すると「子どものころは勉強嫌いで勉強しなかったから、頭のメモリーの容量がたくさん残っていたのかも」と運動会やお祭りが大好きな子どもだったと笑います。

自分の会社だけでなく、業界全体が良くなっていくためにはどうしたらいいか？地元全体が盛り上がることってなんだろう？と、ずっと考え続けているのだそうです。ネットテレビの生放送番組「のっぽろ七丁目放送局」でパーソナリティーも続けています。インタビューも明るい笑顔と軽快なトークで会話をリードしてくれるのは前田さんのほうで楽しく盛り上げてくれました。「みんなでワイワイ楽しめたらいいよね、江別全員が友達になれば、連携なんて自然とできると思うんだ」と市民12万人中、だいたい1万人にはもう会ってると思うから、あと11万人と友達になりたいと話してくれました。

文・取材：三ツ井瑞江／写真：岩崎晃和