触れ合いを提供できる場であり続けるために謙虚な気持ちで進化していきたい【株式会社はやし／林さん】

小中高校は江別の学校に通い、高校から陸上を始めたという林さん。「駅伝をやってみたい」と山梨学院大学に進学します。最初は選手として、その後マネージャーとしてチームを支え、箱根駅伝で2回の優勝を経験されます。今も陸上が好きという林さんは走り方教室で教えることもしています。卒業後はホクレンに入社し女子陸上部のコーチも務めました。帯広で勤務をした時に上司に誘われ蕎麦打ちを始め、試験に合格するほどの腕前。37歳の時に江別に戻ります。昨年は40人程が集まる会合で手打ちの蕎麦を振る舞ったそうです。「帯広まで蕎麦粉を買いに行き、小麦粉は江別製粉で買って早起きして作りました」と、蕎麦に込められたおもてなしの心に感動しました。

仕出し料理はやしは、林鮮魚店として創業し、作っていた総菜が評判で葬儀用食事や配達弁当を始め仕出し業にシフトします。「昔、江別にはホテルがなかったので、結婚式などを担ったのが当社でした」。昭和40年代から平成の初めまで、結婚式は江別市内だけでなく、新篠津村、南幌、夕張、砂川にも行っていました。公共施設などに「テーブルと料理を運んでセッティングして、エレベーターがない施設は大変でした」。現在は法要や宴会が主となり、宴会場のニーズが高まり大麻と野幌に「宴会・法要専用ホールはやし」をオープンさせます。

令和2年2月緊急事態宣言が出て、予約がほぼすべてキャンセルとなりました。5月にはあおいのオープンを控えていましたが、急遽ロールカーテンをつけアクリル板を用意し、椅子の背丈を高くするなど工夫をし開業させました。3年目には復活するだろうと逆算して考えやれることをやりました。あおいではテイクアウトと弁当宅配を始めますが宴会はゼロで収入は激減。国の支援も利用し、従業員の生活を維持するために給料を減らすことはしない、会社側からは解雇しないという目標は達成できました。

コロナ禍で葬儀、法要も簡略化されることが多くなりました。お参りの後にレストランで食事するという法要スタイルが増え、その需要に応えるためにもあおいを営業することにしました。会食には不安があるけどおもてなしはしたいという声を受け「お持ち帰り専用御法要料理」が生まれます。その方たちにとっては一期一会のおもてなしなので、一件一件全力でしっかり対応するということを大切にしています。

今年は新年会も多く「集まったみなさんが本当に楽しそうでよかった」とほっこりしたそうです。今後はあおいの調理人に実演であんかけ焼きそばを作ってもらいエンターテインメント的な楽しさでもてなすことも考えています。「コロナの時には集まれなかったけど、コミュニティのつながりがあったから乗り切れた」と人のつながりの素晴らしさを誰よりも知っている林さんでした。

文・取材：三ツ井瑞江／写真：岩崎晃和